ゆきんこの引き出し
日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。

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明日はデビュー

今日から3月。朝から雨、雨。
昨日に引き続き、女性トレーナーの下で、研修が続く。
会社専用の白いPCがレンタルで配られて、タッチペンをマウス代わりに
操作していく。

場合によっては、お客様の家まで持参して実際に操作していただくこともあるらしい。
いずれにしても、年齢に関係なくゆきんこはお子様性格丸出しで、
新奇なものを面白がってしまうところがある。

「このPCメーカーはどこですか?やっぱり系列のNEC?」
「そうよ。」
「T課長が仰ってました。アサヒビールも系列なんだって。中之島の病院も見つけました。」
「でも関連はないわよ。M病院と同じ。」

休憩時間に、一番若い新人の1人に声をかけた。
「ねえ、Oさん。明日の会社回りは今日と同じ服にするの?
もしよかったら、私のスーツ1着もらってくれない?」
「ええ??」
Oさんは、背中を引いて驚いたふうだった。
「身長は何センチかな?」
「147センチです。」
「私は156センチなんだけど」
自分でも、彼女にアプローチするのは苦手意識があったのだけど、
さりげなくジャケットのファスナーを下ろして彼女の肩にかけた。
「じゃあ、明日持ってくるね。」
「ありがとうございます。」
Oさんは、照れくさそうに首を傾げて挨拶した。

ペン操作が悪いのか、入力するとき画面がスムーズに変わらなくて
時々、トレーナーに助っ人してもらったが、淡々とレジュメに沿った課題をこなしていくと時間がかなり余ったらしい。
「今月の新人さんたちは大人しくて優秀ですね。それじゃあ、
お昼にしましょう。」

1ヶ月前に30人集合した女性たちも、今日はたったの6人
こじんまりみんなでテーブルに座って食べた。
座った女性のうち、独身は私を含めて2名。自分たちの結婚式の話で
盛り上がった。面白かったのは、知り合いの中に3回結婚した女性が
いて、相手の両親にも気に入られてとても幸せに暮らしているという話だ。
うらやましい~~

午後からも、PC端末の操作があり、眠くなりかけたころにお客様向けの
星占いとか、スロットマシンもついていて、ついつい夢中になる。
「仕事運と、頭脳運は90もあるけど、恋愛運は相変わらず低いな…」

その一方で、万が一の保障金額の算定項目では、笑えないシビアな
データもある。
「Iさん、お母さんに入浴介護を週に何日させてあげたいですか?」
「そうですね。5日間。」
「じゃあ、入力しましょう。」
「うわ、キョ~レツ!介護にこんなにお金がかかるなんて!」

他人事ではなく、加入しておかないと介護期間がどれだけ続くのかも
わからない現実が迫ってくる。
手元にある財布のお金は、いつの間にか散財してしまうことも多い。
そこをなんとか切り詰めて、賢くいざという時のためにどう使うのか?
それがお金というものかもしれない。

お金の心配なんかしないで、明日はなんとかなるさとお気楽になど生きていけない。
長寿国日本の栄華も、「今は昔」という日がいつか来るかもしれない。

私が個人的に疑問に思うのは、被保険者が健常者である場合の
ケースを想定した、例題が多いんだけど、
日本の近未来は、もっとグローバリズムも進んで、多様化しているし、
それじゃあ、精神疾患の場合の保険あるんだろうか?

それよりも、何よりも3時以降のほんの30分で甘くない生保の世界の
本性を知った。
明日はいよいよ会社訪問で名刺を配って挨拶する。
初日は、不安もいっぱいなので、スカウト先の支部・支所のヘッドが
同行してくれる。

「久しぶり~!Kさんじゃなくてごめんね。」
「お忙しいのにごめんなさい。」
「昨日も大阪市内まで出かけたよ~。でも、途中で電話して
遅れます。って言って、ベネトンでお買い物しちゃった。」
「そんなのありですかぁ?」
幸い、所長と私は、元保育士で母校も同じという意気投合があり
終始笑顔で、笑いも飛び出す。中央だけなんだか浮いているのに、
他の新人・上司のペアは、なんだかあまり会話が弾んでいない。

さて、笑いはここまで。
2日ぶりにお出ましになったT課長の血相が変わっていた。
「新人さんも、明日から目標を掲げて会社訪問をしてもらいます。
取締役か保険担当者に名刺は5枚もらってくる。契約取り付けは、3月と4月で合計3件です。それが、今後の査定につながっていきます!」

ひええええ~!!やっぱり、超キビシイノルマあるやん!!
気分は、よしよしと今まで優しく手ほどきされてきた牧場の子ウマが、
ある日、突然ダービーのゲートに入った。
そんな瞬間だった。

営業なんて、大昔心身症になったのに、心の中に一瞬北風が吹いた。
「最初は、断られるために名刺を配られるようなもんだからね。
断られて当たり前よ。」
「はい。このベルクラブって何ですか?」
「あなたにとっての応援団みたいな人たちいない?」
「そんなによくわかってないのに、説明できません。20人も友達
いないよ…」
「明日は、どこへ行こうか?自転車だよね?」
「はい。」
「そしたら、1号線沿いをあたってみよう。」
「わかりました。あ、そうだ。明日、誕生日の人がいるのでそこも追加していいですか?」


「挨拶は明るく、元気で、素直に!」T課長の目は全然笑っていなかった。

わかるな~。課長が私と同じ誕生日で同じ幼稚園に通っている女の子の
お父さんをしている時間なんてちっともなくて、休日にはくたばって寝てばかり。家事も育児も理想的にフェアにできない。
「家庭内単身赴任」と言ったこと。

元キャッチャーのT課長のことをダービー営業女調教師と命名しようかしら?

家に帰って母に呟いた。
「今度の法事で、名刺だしたらやっぱり不謹慎かなぁ?」
「やめておきなさい。何を言われるかわからないわよ。」

保険のイメージはどんなに笑顔の練習をしてもやっぱりあんまりよくない。
だからこそ、嫌子と対提示の女性の笑顔(好子)をくっつけて習得性好子にする必要がある。
チヤホヤされた時期は、1ヶ月。
(つまり釣った魚に餌はやらないってことかな?)

それでも、営業所の女性たちの気遣いの仕様には大いに見習うべき
不断の努力が滲み出ていることを私は感じ取っていた。
「人様のお金をかき集めている仕事」と思うと笑顔の口角は下がるけど、初日はたくさんの知らない方々にお会いできるのを楽しみに
出かけようと思う。

雨の中、私より小さくて若いママのOさんと笑顔で別れた。
「明日、スーツどうする?」
「明日は営業所で、こっちこないから。」
「じゃあ、今度来るときだね。がんばってね。」
「はい!」
自分よりも彼女にエールを贈りたかった。



昨夜は寝付くのに、時間がかかってしまった。
またもや、I先生、待っていたらどうしよう…と胸騒ぎがした。

私の中では、始まったばかりの仕事を楽しんでいるけど、
本当の本当は、道草を食っているだけのような気がしていた。

頭のなかに、子ども時代の好きなアニメソングが浮かんでくる。
「♪泣きたいときはコートで泣けと、あの人は、あの人は教えてくれた。つまづいても、うちのめされても、私には見える一筋の光が…」

支社ビルの誰もいないトイレの中で化粧直しをしながら口ずさむ。
10年以上も前にTちゃんとMくんの結婚式の門出にクラリネット演奏した曲だ。
「ねえリンダ、今日の貴女は誰よりも輝いている。でもリンダ約束してね。その笑顔忘れないと。」

お客さんより子どもたちの前で笑っていたい。
今は明日のことなんてわからないけど、
きっと、いつかは保育士に戻るかもしれない。
だって、リンダみたいに泣いている子がいたら放っておけないもの。
お客さんは笑顔をふりまいているうち、アワヨクバお金を恵んでくれるかもしれません。
子どもに笑顔をふりまいても、子どもからお金は取れません。
目先のお金に目がくらんで、もしかしたら笑顔の方向を未来に向けなかったら?

そうだね。お客さんの家族のなかには、子どもがいるよね。
きっとゆきんこ流の新しい子どもたちとの出逢いがあるかも知れません。

やっぱり、今月も障害児教育研究会に行ってみよう!
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テーマ:がんばってます - ジャンル:日記

コメント

頑張っていらっしゃいますね~~
初一の研修時は特にいろんな事が厳しく管理されちゃいます。
わたしもそのステージの頃は
こんな厳しんじゃわたしは続けていく自信ない!
って 思ってました~
でも 初一の研修終わって 支部や支所に戻ると
わたしの場合はですが そんな厳しいトレースがなかったので
何をしていいのか?って ぼんやりしちゃうような事もありました~
研修終わったら あとは自分で自分の管理が始まります
その方が 逆に 大変かもしれませんよ?
ぼんやりしてると あっという間に
締め切り日だったり?
頑張ってくださいね♪
わたしも10月に入社したばかりの部下を抱えているので
新人さんの心境なんかたった自分も1年くらい前の事なのに
忘れてしまっていたりする所があるので
ゆきんこさんを通して
どう言ったところで部下が不安に思ったり
困ったりするのか?って事を
勝手に学ばせて頂いてます。
頑張ってくださいね♪
影ながら応援しています♪
【2006/03/03 17:34】 URL | @R #JEQ62bWs[ 編集]
@Rさん、応援ありがとうございます。
今後もご進言すだされば、駆け出しの新人としては
嬉しく思います。
自己管理もこれからの課題ですが、今後もコメントよろしく御願いします。
【2006/03/03 19:42】 URL | ゆきんこ #-[ 編集]

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プロフィール

ゆきんこ

  • Author:ゆきんこ
  • 2005年8月23日にデビューして、ブログ歴13年目になりました。
    開設当初、障碍児加配保育士を経て、紆余曲折の3年間の夜間大学院の日々を綴ってきました。
    修了後も、失業と再就職を繰り返し、どうにかケセラセラでやってきました。
    出会いと別れの中で次第に専門分野への執着を捨て、遠ざかる日々です。

    独身時代の趣味は、旅行、水彩画、ハイキング、心理学系の読書、リコーダー演奏などでしたが、兼業主婦になってからは家事にまい進、心身とともに衰退しています。
    かなり前に流行った「どうぶつ占い」では「人気者のゾウ」ってことになってます。

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