日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。
おもてなしは喧嘩の種?
2006年03月26日 (日) | 編集 |
廊下に置いた一輪挿しのチューリップ。
一枚の花びらの下半分は赤く、上半分は白い珍しい品種のもの。
そのチューリップが、早朝から午前10時のうちに居間のローチェストにおいているうちに、一気に開いた。

その間、傍のテレビのブラウン管には、サンデーモーニング」の街頭インタビューで口元をほころばせながら、ワールドベースボールクラシックで世界一になった日本チームの活躍を喜び合う人々の声が流れてきた。

昨日の午後、その一輪刺しの小さな花瓶は、居間の座卓の中央に飾られていた。あるお客さんを招待するためだ。

残業した週末の土曜日くらい少し寝坊したい。
(ついこの前まで失業者だったくせに)

「もう8時よ!今日はこゆきさんが来るんでしょう?」
「わかってるって!」

朝食を済ませた頃、母は友人から電話がかかってきてしばらくすると
外出していった。

「鬼のいぬ間に洗濯」ってわけじゃないけど、こゆきさんから
電話がかかってくるまでに、掃除とお料理を済ませなくちゃ!

本来、自分でそんなコーディネートもしなくちゃならないのに、
気がついたら殆どのお膳立てを母が前日の金曜日のうちにしてくれていた。

21日の春分の日の午後にも前もって掃除をしていたから、後は雑多な
ものを2階へ移動させるだけ。

でも、居間には窓がなく、日中も陽が差し込まないので新年の大掃除にもかかわらず天井から、鴨居、本棚の上にはうっすらと綿埃が被っていた。
「♪春一番が掃除したてのサッシの窓に~、埃の渦を躍らせてます~」

気長に掃除しながらこゆきさんを待つつもりで、自分は暢気な性質じゃないかと思っているのだけど、何年か前にも同じ弥生の下旬に似たような状況で掃除しながら待っていたことを思い出した。

自分にとっての正午から午後という時間帯は、相手にとってそうでないときがある。
自分にとって「まだなの!?」「いつまで待てばいいの?」という感覚は、相手にとって「どうしてそんなに慌てるの?」「時間を削ってこんなに急いできたのに」という感覚の食い違いで揉め事へと発展し、
ついには収拾のつかない事態へ陥っていくこともある。

待ち呆けて3時間、正午過ぎにこゆきさんから電話があった。
「おはようございます。今から家を出発してそちらに向かいます。
傍まで来たら電話しますね。」
「気をつけてきてくださいね。」

それから1時間30分、テーブルセッティングをして、桜色のテーブルクロスの中央に、チューリップの一輪刺しを置いて、軽食を作ってサランラップをかけた。電話のベルが再び鳴った。

「こゆきです。思ったよりスムーズに来れたわ。迎えにきてもらえますか?」
「はい。今、行きますね。」

小走りで、目的地まで約1分。
10年前、いや数年前はもっと走れたのに、息切れが甚だしい…
駐車スペースの軽自動車の窓ガラスを軽くノックした。
「うわ、早かったわね。お家は本当にすぐ近くなのね。この辺りラジオ交通情報でも渋滞しているところで本当に賑やかね。公衆電話の声が全然聞こえなかったもの。」

ようやく、自宅のテーブルに座って落ち着いてもらったのは午後2時前だった。
「お忙しいのに、よく来てくださいました。」
「ううん。3月8日にM研究会に一緒に来て欲しいってあなたが電話をくれたとき、これは是非とも行かなくちゃって思ってたのよ。
忙しいとかなんだかんだ言っても、本当に会おうと思えば、無理にでも
都合をつけるものでしょう?今朝は7時に寝て、3時間仮眠とって、
午前10時に起きたの。出かける間際にバタバタと急用が入って12時になっちゃった。」
「それじゃあ、別の日にした方がよかったのでしょうか?」
「いいのよ。タイミングを逃がしたら、また会えなくなってしまうわ。貴方と私は毎日顔を合わさなくたって構わない姉妹みたいなものでしょう。あの内観療法で、お互い一番辛い時期に出逢ったのだから、前世ではそうだったと思ってるの。貴方も私も変わり者だから。」
「そうはっきり仰らないでください。時々そう言われるから、自分では普通と思っていても、認めなくちゃいけないって思っています。
でも、今の時代風潮が自分に合っていないのなら、無理に合わせて苦しくなる必要もないんです。もしかするとおかしな時代に生まれなくてはならなくて、しんどい思いをしながら生きてきたのも事実なんですから。」

こゆきさんとゆきんこが会うのは、頻繁ではなく、3~4年に一度と
いったところだろうか。
「こゆきさんに初めて会ったとき以来、障碍のある方々の支援をしてきたのですが、この1月にガラリと職種が変わってしまいました。」
「まあ、生命保険?あなたらしくないわね。」
「なんだかベルトコンベアに乗っけられたように社員になってました。でも、居心地がとてもいいし、みんな良い方々ばかりなんです。

今までがんばってきたことを中途半端にしてもいいのかという思いもあるのですが、どうしてI先生に近づけないのか、自分でもわからないんです。去年の秋、何度かI先生の講義を聞きにいったときに、『こんな施設があってスタッフが足りない』と公の場で仰っていたのですが、自分にだけ言ってる訳じゃありませんからね。」
「職種はともかく、何か人生の意味があって貴方がそこへ行く運命だったんでしょうね。だって仕事って、内容だって大事だけど、一緒に働く人たちがどうなのかも大切だものね。」
「I先生にいつか一緒に会いに行ってくださいますか?こゆきさんも、
I先生も忙しすぎて3人揃って会うなんて実現するかどうかわかりませんが。」
「もちろん、私もお会いしたいわ。あなたがI先生に会いたいという気持ち、I先生にもきっと伝わっているはずよ。
私の教え子の方にも『もっと早く貴方に会いたかった』って言う方がいらっしゃるけど、『今、会うべくして会ったのだからそれを受け入れて
感謝しましょう』と答えているわ。」

サンドイッチをおやつ代わりにもう少し、話し込みたかったところで、4時前に母が戻ってきた。

「こゆきさん、去年の11月に貴方のギャラリーに出かけたときに
姪に会いに行くように進言してくださったのに、梅田で引き返して見舞いに行かなかったんです。姪がこんなに早く逝ってしまうだなんて、あの時、貴方の言うとおりにしておけばよかった。」
「いいえ、それはお母さんのご判断で、姪御さん会えなかったのならそれが運命だったんでしょう。」

それから、睡魔が襲ってきて、私はだんだん相槌をうつだけになった。母がこゆきさんに好奇心いっぱいに人生の諸々について質問し語りあって日が暮れていった。
「ゆきんこ、そろそろ支度しなさい。」
「支度って?どこかへ出かける予定があったの?」
「いえ、もういいんです。夕方に大学院修士論文の発表会とコンパの誘いがあったのですが、もう間に合わないから断ります。今日は、こゆきさんと過ごすことを優先していたし、コンパは2~3日前に連絡があって、時間に余裕があれば出かけようと思っていたんです。」

こゆきさんが、6時半ごろ家を出てから、母と私は険悪になった。

「こゆきさんは、私の恩人よ。私に電話をかけてきたんだし、あの人の
要望を聞くのは私なのよ。まだ話したいことがあったのに、途中で帰ってきたら話ができないじゃない。横からごちゃごちゃ余計な口出しやお節介しないでよ!こゆきさんも言ってたでしょう。自分のペースで自分の食べるものや生活スタイルも身体の状態に合わせて我侭にやってるって。」
あんたのために、色々やってるのに。もう好き勝手にしなさい!・・・私が嫌いならいつでも出て行っていいのよ!」
「お金ないもん。」
「貯金を下ろして出て行けばいいのよ!」
「嫌いだなんて言ってません。おもてなしするのは私なんだから先回りしないでと言ってるだけじゃない。」
「口出しされるのがいやなら、明日から自分の好きにしなさい!冷蔵庫も食べ物も私が買いましたから自分の欲しいものは自分のお金で買って作って食べなさいよ。そればいやなら、とにかくもう黙って!」

今まで散々お世話になって、親を罵倒している自分が全面的に悪いのは
わかっているのだけど、二言目には「あんたのために」という台詞を出されるのはいやだった。
前の来客時も同じパターンの親子喧嘩なので、そろそろ1人暮らししなくちゃな~と思いつつ、もう何年もそれが実現できていなかった。

結論として、来客前後、ゆきんこは不機嫌になる傾向あり。
人に会うのは嬉しくてワクワクするけど、不器用だから余計な気遣いなんかして、神経質になることもある。
因みに、木の芽時の3月から5月は環境の変化もあり、子どもたちや障害児は、不調になりますのでご注意ください。







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2006/03/26 13:30 | 悶々 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
コメント
この記事へのコメント
3~5月。そうですね、良くも悪くも環境の変化のある時期ですよね。うちの息子も今春から幼稚園だし、生活スタイルががらりと変わると思うので・・・子供の体調には気を付けなくちゃ!と気が引き締まりました。ゆきんこさんの記事を読んで良かったです(笑)

「あんたのために」って私も言われたら嫌かな。
そういう言葉が出るってことは、「自分がこんなにやってあげているんだから」っていう言葉の裏返しですよね。見返りを求めない言動・行動こそが、本当にありがたく心に響くものなんだろうっていつも思います。
2006/03/29(水) 08:19:21 | URL | るい #uvrEXygI[ 編集]
るいさんのお役に立って嬉しいです。
るいさん、丁寧なコメントありがとうございます。
元保育士とはいえ、うちでは(法律上も)相変わらず子どもですから、偉そうなことは言えないですが、、、
お母さんはエンドレスな見返りのない仕事ですよね。るいさんもお子さんも体調をくずさないように
新学期をお迎えください。お花見も楽しめるといいですね。
母と私は普段はとても仲良しで、お互い思いやりが
過剰な方だと思うんです。一人っ子で愛情150%だと息苦しくなるんだよね。いい加減自立しないとね。

2006/03/29(水) 20:47:16 | URL | ゆきんこ #-[ 編集]
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