ゆきんこの引き出し

日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。

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もうちょっと早く帰宅するはずが、週明けのスタンバイに
時間がかかり、午後8時半まで残業。

8時半に帰宅するや否や、居間の小さなブラウン管を食い入るように覗き込んだ。
発達障害の権威のアップがでかでかと映し出され、画面の中の嘗ての師は、やや険しい表情で語っていた。
「発達障害を正しく理解し、教育する指導者の力量が問われています。
数年前からモデル校をいくつか設置し、そこでの取り組みや成果と、そうでない教育現場との格差が甚だしい。来年度からは本格的に特別支援教育が全国展開される運びとなっています。」

確かに、T先生がこれまで何度も全国津々浦々の壇上で繰り返し言い続けてきた台詞そのままだった。
実際には上手くいっている事例はほんの一握りじゃないんだろうか?

元障碍児加配の保育士で、自閉症の療育指導員だったゆきんこは、
T先生をブラウン管のなかに眺めることに、躊躇いとか苦々しさとか、とてもことばでは言い表せない感情を覚える。

週明けの火曜日、★営業所の自分のロッカーの鍵を開け、お目当ての
とっておき商品を取り出した。
それを、仕事と併用で持ち歩く私用のショルダーバックに放り込んだ。
「そうだ。ディズニーランドのチケットも同封しよう。」

国道1号線沿いのお店を数店舗巡回して、帰宅し優雅なランチタイム。
・・・と、いいたいところだけど、この頃支社からのお目付け役の監視
が非常に厳しく、ストレスが溜まってまた背中が痛くなってきている。

モネの「洋傘の女」がプリントされた一筆銭にメッセージを書き添えて
封筒の中に、その小さな箱と、それから余計なお世話でご近所の人気の
クリニックで手に入れた「高血圧のはなし」のミニ冊子を同封した。

再び、1号線に自転車を走らせ、M郵便局でガードマンさんにご挨拶。
「お疲れ様です。昼間はまだ暑いからずっと監視されてるのも大変ですね。」
「ハハ、、どうも。」
中に入り、カウンターで「所長」の名札をつけた男性に尋ねた。
「え~と、固形物が入っていますが、普通郵便でいくらですか?」
「150円です。中身は何ですか?」
「あの、物差しです。巻尺。」
「ああ、巻尺ね。」
「やっぱり書留のほうがいいでしょうか?」
「ちゃんと届いているか後から追跡するには、書留で配達証明があれば便利です。普通郵便だと紛失してもそれができませんから。」
「それじゃ、書留で。」
「350円です。」

これで、小林園芸に無事に到着するか、お楽しみ!

★営業所に戻り、火曜日の午後5時が迫ってくると、俄然、ヤル気が
涌いてきた。

「お先に失礼します!」
ピッタリ5時ピタで扉を開けると、Yちゃんが後追いする。
「ゆきんこさん、おつかれさま。気をつけてね。」
「ありがとう~!!もう、Yちゃんがそう言ってくれるの、一番嬉しいなあ。じゃあね!」
「バイバイ!」

自転車は、稲刈りが半分くらい終わった田んぼの沿道をすり抜け、昼間の保険営業よりも勢いよくH駅へと滑った。
そして5時半の特急電車に飛び乗って、空席に目ざとく座ってお握りに
かぶりついた。

6時限目の住生活特論は、3週連続の休講で、暇つぶしに学術雑誌のコーナーで「発達」(ミネルヴァ書房発行)をかじり読みすることにした。
意外に面白い内容の特集だったので、特に自閉症の頁を抜粋してコピーを取り、7時限目に備えた。
チャイムが鳴ると同時に早めに確保していた席の前に、前期授業で
一緒に「国土地理院」に出かけた1年生のFさんが座っていた。
「あれ?Fさん、ここに座ったの?」
「はい。ゆきんこさん、一番後ろですか?」
「うん。一番いい席は早めに確保しておかなくちゃ。」
「そんなのあるんですか。」
「あるよ!ここが一番居心地いいんだから。ねえ、アルジャーノンどうした?」
「買いました!でもこんな分厚い本、読んだことないですよ・・・」
「まだ提出までに時間あるから、ガンバロウ!!

そのやりとりが徐に黒板の前に立ったI先生の目に映っていたのかは、定かでない。

I先生が小1時間かけて前回の質疑応答に丁寧に全て回答したのには圧巻だった。その講義内容の詳細は、明日、綴りなおすとして、

「来週は学会に出席のため、休講にします。」
60人ほどの受講生が、順番に退席していき、最後に残ったのが
奇しくも、Fさんとゆきんこだった。

Fさんが立ち上がり、質問用紙を持って彼女の後ろに隠れるように続いて歩き、I先生に近づいた。
突如、若干22歳のFさんがくるりと振り返った。
「これって、何か質問書かないといけないんですかね?」
「質問したいことがあれば書けば?特になかったら、感想とか、印象に残ったことでもいいんじゃない。」

紙をそろりと積み重なった紙束の上において、二人でハモった。
「ありがとうございました。」

ターンして、自分の机に焦って戻ろうと、机にぶつかり
誰に言うともなく「あ、ごめんなさい」

使っていた机に戻って、片付けだしたその時、
「幼年教育コースは何人ですか?」とI先生

総合教育コースのFさんがその質問に答えるはずがない。
「・・・・・何人かな?11、2人くらいです。」
「結構居るんですね。」
「でも、私の学年は3人ですけど。」
「あなたは何年生?」
「2年生です。」
「じゃあ、殆ど1年生なんだ。ふ~ん。」

(ふ~ん・・・って?
それになんで幼年コースって知ってるんだ?初めてことばを交わすのに)

二人が片付けているとまたI先生は質問した。
「先生たち、神戸の幼稚園にお勤めですか?」
そこで、Fさんが返した。
「私、先生じゃないです!現役生です!」
「あ、社会人じゃないんだね?」
「はい。」
「・・・・・」

「それじゃ、失礼しま~す。」
I先生がタータンチェックのシャツの肩に黒いバックパックを背負い先に
講義室を出た。
Fさんとゆきんこ、またハモって
「ありがとうございました。」

さて、この会話が一体何だって言うんでしょう?

そう!
ゆきんこはついに!
ついに喋ってしまった!!
会話してしまった!!!

初めてお会いしてからずっとお話しするなんて信じられなかった人と

絶対口を開いて声を出して喋るなんてことは有り得ないと
思い込んでいた人に。口を開いてしまった!
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会話できて良かったね!
元気そうでよかった。私も頑張らなくちゃ。

2006.10.25 15:14 URL | OJA #eoiZu7NI [ 編集 ]

OJAさん、コメントありがとう!
あれは、会話だったんでしょうか?
わかりません・・・
そんなにカンタンに「ことばにできない」ものなのです。

2006.10.26 23:06 URL | ゆきんこ #- [ 編集 ]












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