日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。
「明日はわが身」です
2006年12月17日 (日) | 編集 |
何をどう綴っていいか、頭の中が整理されていない(2階の部屋も整理されていない)2006年師走の第3週。

清水寺の恒例の今年の一文字は 
MRIのお世話にならない程度に、私は健常域にいるだけであって、
日々、生保業界という自分らしくない仕事に追いたてられる企業女戦士
の戦いに明け暮れている。

逃げ出したくても、★営業所の上司に贔屓にされればされるほど、
その笑顔は引き攣っていく。

昨夜の土曜日もイヤイヤモードで★営業所に顔を出した。
知人が、40歳になっても無保険だというので11月から2回提案の話をしてきたが、結局、配偶者のお尻に敷かれているらしく、前日の金曜日に
終日返答を待っていたのに、T氏はすっぽかし作戦に出たのだ。

「N主任、アッシーになってもらえます?」
「ええ、いいですよ。」

私の遍歴を何も知らない10歳も年下の上司に謙るなんて、心の中では絶対に許せない。
でも、賭け値なしで休日返上で一人一人の営業員に同行して自らの
悦びにしているN氏の献身振りに、ゆきんこ元来の男性恐怖症は、
徐々にほぐれていった。(と思う)

「それでも、何のかんの言って、ゆきんこさんはこうして仕事に出てくるじゃありませんか。」
「中途半端にするわけにいかないもの。でも、私の今までやってきたことは全部、中途半端だった。結局、今年の1月5日にハローワークの前にBさんがいなかったら、N主任の車に乗っけてもらわなかったんだからね。
自分の夢なんて叶えたことなんかない。
私が何の役に立つのか、自分でもわからないけど、私を待っている人がいるから、そっちに行く決心をしたんだ。
お金だって全然儲からないし、もっと辛くてしんどいかもしれない。
だけど、他の営業員みたいにお客さんと契約をすることを素直に喜べないんだ。何だか斜に構えちゃってね。パーティーに参加しても、
かにかに食べ放題でも、大笑いしてもね。
必ずその場にいることができない人々がどうしているのだろうと、心を過ぎると、どうしても素直に笑えなくなるの。
だから、昨日のクリスマスパーティーも、N主任は、準備が終わったら、
参加できなかった営業員と残ると言って本当に帰ってしまったでしょう?」

「一度、宣言したことは僕は実行しますよ。」
「だから、見直したんだ。いい加減な口先だけで仕事をしている人だったら、同行なんて頼まないよ。
何度も言うけど、★営業所はいいメンバーでS支所長も尊敬できる上司だったから、入ったんだよ。別にロゴのパワーになびいてここに来たんじゃない。単純にお金儲けしたくて来たんじゃない。
それならどうしてわざわざ、断られたり無駄だらけの危うい変動給のこの仕事ができるかしら?

去年まで、自分の子どもでもない多くの赤ちゃんたちのおしめ洗いやお掃除だけに明け暮れていたのと、どっちがましだったのかという話だよ。言っておくけど、こんな話は誰にだってしない。
N主任には、というか男には、野望とか、全般出世欲とか、名誉欲とかあるよね。その大義名分で、部下を『守ってあげたい』とか言うよね。

じゃあ、結婚しても愛する家族と過ごす時間を犠牲にしてその目標を達成することが、家族を幸せにするということなの?私にはわからないよ。
私は子どものころから『結婚は必ずしも幸せを約束しない』ということを両親から植え付けられてきた。
どうしてこんなにバツイチの人たちが増えているの?
子どもを保育所に置きっぱなしにしてなかなか迎えにこない親になりきれない親は、一体どんな子ども時代を過ごしていたの?」

「    …なんだか重いですね、、、僕だって18歳で父が亡くなって進学資金に困り、母に苦労をかけました。だから苦労を知っている人の方が優しいことも知っているつもりです。でも、訳ありすぎると、重いですね…」
「ここまで立ち直るのに、すごい時間かかったんだもん。保険は信頼関係あってのものだけど、人間である限り、裏切る可能性がゼロじゃないから、わが社の方がいい商品ですよ。って平気で言って乗り換えさせるんじゃない?
これが、自分の家族だったらどう?
目の前のパートナーが、完璧じゃないからと文句をつけて、さっさと離婚したり、再婚したりしたら、子どもは誰を信じるのよ?

結婚する前に、そういう価値観受けつけられて、のた打ち回って、
他人の幸せだけを傍観して、羨望してきたんだよ。

本当に結婚したいんなら、仕事人間と家庭人とのバランス、ちゃんと
考えて、計算しなくちゃ。
35歳過ぎたら、精子も卵子も老化して、障碍児の出生率も高くなる。
奥さんにしたい人も、あんまり辛い思いをした人は、パートナーを信用できないと安心して身を任せられないから、やっぱり惚れさせてあげなくちゃ。」

「ゆきんこさん、、、かわいそうですね。」
「・・・・・」

「私には地位も名誉もいらない。ヴィトンのかばんも洋服もご馳走も
いらない。それを投げ捨てても、それ以上に大切なことを教えてくれて私を認めてくれる師匠に辿り着いたんだ。この(保険の)仕事が楽だと思わない。そっちに行っても、泣いてばかりで何にもいいことなんかないかもしれない。でも、私は行くよ。どうして私なの?と何度も確かめたけど、他の誰でもない私を要請してくれたから、決心したの。」

「かっこいいな~。かっこよすぎですよ。人間って出る杭は打つものです。
でも、出すぎた杭はもう打てないんですよ。僕、ゆきんこさんのこと、応援しています。」

「私がホームレスになっていたら、何か奢ってくれる?」

…と昨夜の黒いハマーの中での会話はこんな感じで、目当てのお客さんは出かけて留守だった。

年下上司N氏の★営業所内での武者修行は、11月から年末までの2ヶ月間だが、威張りン坊のN主任は、結構いい奴で、★営業所のメンバーもこの3ヶ月モーレツにがんばった甲斐があって、2月の支部昇格に向けてK支社トップの営業成績を修めたのだった。

けれども、ゆきんこは頑なに夜間大学の通学を優先してきたから、
面と向かってというわけじゃないが、営業員たちが夕方もお客さんをめがけて足しげく活動していたにもかかわらず、そこから逃避するかのように、5時ピタ退勤で顰蹙を買っていた。
当然、契約だってちっとも取れなくて、お客さんたちには
「一体、いつ辞めるの?」
「あんたに文句言ってもしゃあないから、さっさと嫁にいけば?」

と、連日、クライアントハラスメント(略してクラハラ)を受けていた。

なんというか、ヒョロヒョロした風貌が(今も昔も外見はヒョロヒョロしているんであるが)
相手の標的になって、どこへ行こうともセクハラ・パワハラ・リストラ
アカハラに常々、恐れおののいてきた。

だから、至近距離数メートルに、好子か嫌子か得体の知れない対象が近づくと、私は心的内部地震を予知するのだ。

それは、毎火曜日の7時限目にわなわなと起こる。
6時限目のT先生とのマンツーマンで穏やかな、気分転換いい気分の
「子どもの町づくり」の論文購読と笑顔と談話を楽しんだ後だけに、
脳ミソのスイッチの切り替えが結構大変なんである。

先週の水曜日12月6日の午後6時20分頃、偶然口を開いてしまったI先生に
予告していたある行動目標を果たすため、私はやはり尋常でなかった。

御題は、前回の予告通り、保護者面談から対象児の問題行動について事情聴取を効率的に行う初回カウンセリングのロールプレイングだった。

隣席のFさんが眉間に皺を寄せて話しかけてきた。
「私、相談したことないんです。苦手なんですよね~。
父親なんかはまるで頑固で相談しないで何でも自分勝手に決めちゃうタイプで・・・」
「みなさん、こんばんは。」
黒板の前に立ったI先生が、学生の会話を遮って講義を始めた。

「もう少し下がってください。」
アイコンタクトしたI先生の目は、明らかに「指示・命令」の機能を示していた。

5人グループで、ジャンケンして母親役、面接者役、観察者3名の役を
決めた。

私のいる所属グループのジャンケンで勝敗が決まる瞬間を、I先生はしっかりと見届けていた。

「あ~、、、よかった・・・」
私は、観察者になり、負けてカウンセラー役になったのは、まだ社会人になっていない最年少のFさんだ。

しかし、観察者になるのも難しい…
緘黙でなくても、視線や指摘の飛び交う面と向かっての意見交換の場で、表面的には和やかだが、実際、その場を取り繕うので必死だ。
しかも、もっと気になるのは、I先生の抜け目のない観察眼で、
5つのグループをくまなくチェックしていることだ。
仕方がない。これがI先生のお仕事なんだもの・・・

(そういえば、Iゼミの1年生の中間報告も確か、チェックリストを作っていたから、多分、チェック魔なんだろう)

更に、I先生の横顔が至近距離5メートル内に接近したとき、
ゆきんこは、大、大、大、、、、発見したのだ!
その途端、さ~~~~っと血の気が引く音が聞こえた。
勿論、誰一人、気がついていない・・・

「クライアントの役になりきることが、よき相談者になるにはいいですね。」
I先生はこうコメントし、何となく自己満足げに見えた。

私なんて、いつだって道化者のクラウンになりきっているさ・・・
生保の女たちは、腸が煮えくり返っていたって、笑顔を絶やさない。
そして、誰にも父を診断されずに、最後に看取る覚悟だってしなくちゃならない。

出席替わりの、用紙に学籍番号・氏名・コメントを記入して、
黒板の前の机上に提出した。
「ねえ、Kさん帰る前に2分だけ付き合って。」
「いいよ。」
最後列の座席から、廊下に出て、再び黒板前の引き戸から講義室に入り
I先生にオペラントにアプローチ!

「I先生、余暇活動に役立ててください。」
K-Railwayのロゴ入りの白い袋を手渡した。
「あ、スルッと関西!?」
「期間限定販売なので買ってきました。喜んでもらえるかなと思って。」
「生徒さんは喜ぶだろうけど、僕は・・・」

あら?
そうか・・・先生の好子ってわけじゃなかったらしい。

「ありがとうございます。」
1秒から2秒の最至近距離が何センチだったのか、
とにかくも、私の2年11ヶ月の究極の目標は達成された。
その瞬間、I先生と私はシンクロに笑顔とアイコンタクトを浮かべていたが、嘗てのどこかの自閉ちゃんたちとは、相当な技を磨かないことには
どうしようもない。

至近距離に居たくないのは、憧憬の対象に目にしたくないものまで見えてしまうことがコワイ・・・
その途端、憧憬は幻滅に変貌を遂げる瞬間を何度となく体験した。
それが、2006年12月12日火曜日だった。

4階のロッカーにプリントを入れて、エレベーターの前に立ち、
開いた途端、中にはI先生がいらっしゃった。
逃げ出すわけにいかず、Kさんと平静を装って、中に乗り込んだ。

1階へ着くと、I先生の眼中に複数の生徒たちは入っていない。
挨拶もしないで、一番にエレベーターを出ると、
足早にガラスの扉を開けると、中型ワゴンに乗ったI先生は次の目的に向かって暗闇に消えた。

やっぱり、そんなにドタバタ突っ走ってばかりいると、
たくさん見落としていることがあるんじゃないかしら?
どんなにプロフェッショナルといってもね。

IQのずば抜けて高いASちゃんたちが、孤高な世界で、凡人たちにはわからない数式を解けたって、
エロティックな生保レディたちは、臆面もなく、初対面同士でも抱き合ったり、ブチュ~っとキスをする。
無礼講のパーティーでどこまでの節度を保つのかは、全く千差万別。

そこでは、『郷に入れば郷に従え』という庶民の、学閥の、企業戦士の、教育者の、家庭の、それぞれのTPOに即した目に見えないルールが
存在している。

そのルールがチンプンカンプンな人たちが、I先生のお客さんたちだ。

「あのすごろく、私も見たかったな。」
「もう1つ買ったんだ。今度持って来るね。」
「今日の講義は、メモを書く時間がなくてI先生ってスケジュール通りにやらないと、というこだわりがあるみたいで、それも窮屈なんだな~。」
「ねえねえ、私、今までI先生を遠くからしか見たことなかったんだけど、近くに来てわかったことがあるんだよ。多分、そうだろうと思ってたけど、今日、それを確かめたんだ!」
「何?」
「何だと思う?」
「え~、わかんない。」
「ヒントは近くに見えてわかったこと。」
「何が?」
「私もKちゃんもしてないけど、I先生はしてたんだよ。」
「どこに?」
「左手」
「あ~! 指輪!?」
「そう。ショックだったな~~~」
「私、知らなかったよ。I先生に全然興味ないもん。」
「あ、そう・・・」

その日は、全然寝付けずに、翌朝9時から夕方5時までモーレツに働いた。

これまで何度となく体験してきたことだけど、
辛いことや悲しいことから気を紛らわせるには、やっぱり
目の前のしなければならないことに、猛進していることが、ABAの方略だ。

有限な人生をどのように過ごそうと、それは貴方の自由かもしれない。
しかし、地球の同じ時空に生存している我々は運命共同体だ。
I先生の御前で、払拭しきれない煮えたぎる復讐心を剥き出しにはしない。
もし、そうしてしまったら、私は自分の属する最高等動物の誇りを自分で捨ててしまうことになる。

ヘタレになっていると、私を勧誘してくださったBさんが励ましてくれる。
「ゆきんこちゃん、あんたはガラスケースに入っているように見えるよ。生保の営業員はみんな闘っているんだ。白鳥みたいなもの。
表面はスイスイと泳いで見えるけど、水面下では必死に足を動かしている。」
「うん、、、私まだまだ支所長に甘やかしてもらっているのもわかってる。がんばっているみんなに悪いから、クビにしてもらってもいいんだ。」
「また一緒にごはん食べに行こうよ。」
「うん。。。」

金曜日、クリスマスパーティーを楽しんで繰り出したFゼミ。
少し早めに複数のゼミ生が到着し、F先生が冒頭、目下の交通事故が原因で深刻なPTSDに苛まれている事例を述べられた。
その延長に、我々はF先生の滔滔と叙述しがたい遍歴に傾聴し、目頭を熱くしたのだ。
(事実に近づけて書きたいですが、疲れていると記憶力も減退したり、
嫌なことがあると、面倒になる・・・そこがヘタレ)

「たとえ、自分のかかわった学生が学校生活を円満に過ごし、卒業させて社会へ送り出したとしても、そこで躓いたり挫折したりしているのなら、生活が安定して軌道にのっているのかどうか、見届けなければ、私は気が済まないんだよ。」クリスチャンであられるF先生の御題は、
「行動分析学入門」(産業図書1998年初版)

「ABAでは、神仏に祈ることは行動から除外するものと思っていましたが?」
『第23章道徳と法による行動の制御』を読んでいないのか?」
「読みます。」

3年生のKさんのみっちり査読指導に、傍聴者3名は、最後にコメントを要請され、ゆきんこは一言。
「明日はわが身です。」

今朝、目にしたニュースのなかで、拒食症防止キャンペーンとして、
イタリアのファッション業界が、痩せすぎたり、健康な食生活をしていないモデルを起用しないことを決めたそうだ。
摂食障害の女性をクライアントにした話も拝聴したF先生に来週お伝えしなくっちゃ!

誓いを立てた指輪の主が誰なのか、私は悶々とするでしょう。
しばらく心のお天気は師走の空模様の如くぐずつきそうです。








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2006/12/17 15:26 | 悶々 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
コメント
この記事へのコメント
こんにちは~。
キーワードは、「指輪」ですね。
ただのお洒落?ではないですよね、左手は(^_^;)

人の世の 幸 不幸は、人との出会いで決まるんだそうです。
(by 相田みつを)
ゆきんこさん、これからの良き出会いに期待しましょう!
2006/12/22(金) 10:22:36 | URL | るい #uvrEXygI[ 編集]
るいさん、いつかお会いしましょうね。
その時には、どうか慰めてやってくださいな。それから、夫婦円満の秘訣も伝授してやってください。私にはいい恋愛モデルがないもんですから・・・
メリークリスマス!!
2006/12/23(土) 12:16:03 | URL | ゆきんこ #-[ 編集]
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