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憧れの乳児室


今朝、7時ごろ小雨が降っていたが、8時までには止んで
一日中曇り空に、そよ風が吹いていた。
それでも、軽運動をすれば、汗が滲むという気温は26~30度
といったところだ。

先ほど、お気に入りの師匠のブログを見てみたが、更新はされていなかった。
昨日わたしが書き込んだコメントのレスがあるかなと
期待してみたのだが、反って凹ませてしまったかもしれない。
ABAの理論どおりに100%事が運べは、みんなもっと幸せだろうけど、
現実の実践や現場では、それがなし崩しにされて絶望の縁に
立たされることの方がずっと多い。それがわたしの人生。

今更、師匠を「理論どおりにならないじゃない!」と苛めてみても、
自分で自分の人生をなんとかしないといけないのは、
誰だって当然なのだ。
それをわかっていて、昨晩、わたしはコメントを入れた。
「障害児教育の臨床家や専門家に傷つけられて、その後の
障害受容が困難だったり、拒否しているケースに対応する
具体例はどのようにされるでしょうか。
かくいうわたしが、その当事者です。」
その返答がなかったのだ。
不誠実だ!ペテンだ!

わたしは、屈託やウソ偽り、騙し合いのない子どもの世界が好きだ。
保育士になったのは、「でもしか」だったけれど、
「この仕事で自分らしく生き、自己実現できる。」
そう思い込んでいた。

朝のミーティングが終わると所長に指示を受ける前に
九官鳥の「タロウチャン」の水浴びをした。
タロウチャンは、わたしが巣箱を持ち上げると、
人の声の人まねではなく、「krrrrrr・・・」と
サイレンがクレッシェンドするように喉を鳴らす。
水をかけると、除けながらも嬉しそうな感じで棒の上を
ピョンピョン跳ねる。
「きもちいい?タロウチャン、今日はあんまりウンチしてないね。」
そういって巣箱にこびり付いた緑色の糞を束子で擦る。

運動会の練習は、5歳クラスのオープニングの和太鼓の
セッティングの手伝いと片付け、
それから主任のY先生とペアになって「かけっこ」のゴールテープを
担当した。
1歳児クラスから順に子どもたちは、みんな楽しそうに且つ
一生懸命ゴールに向かって走っていた。
中にはテープを切るとき、ブレーキをかけて慎重になる子も
いたが、大抵の子どもはそれが一番楽しい瞬間には違いない。
わたしもゴール係なんて、保育士になって初めての経験だった。

誰だって、走り出したらゴールに向かってそのテープを切る
快感を味わいたい。それなのに、テープを切れるのは
たった一人なのだ。
そうした目に見えない競争を我々は一体いつまで、
どこまで強いられなくてはならないのだろう。
そんなことを、感じているのは年長の幼児たちだ。

続いて4,5歳児は、小さな園庭いっぱいにやかんの水で描いた
楕円状のトラック1周紅白対抗リレーの練習だ。
4歳児のスタートは、クラスに在籍する4名の発達障害の
子どもたちが、加配保育士の配慮の元にラインに並んだ。
予めラインに足型の段ボールを敷いて、トラックのカーブに
→マークで視覚支援してわかりやすくしてある。
そのわが子の姿を隣のマンションのフェンス越しに
見つめる母たちの心境を思うと、わたしは過去の経験から
胸が痛くなってしまう。

ぎこちなく、あるいはスムーズにバトン交代しながら、
「はやいよ、はやいよ~!!」と先生たちのエールも
大きくなり、レースは初回にもかかわらず、本番さながらに
盛り上がった。クラスで長身な男の子に後追いする男の子が
悔し泣きした。

最後にフィナーレのダンス「オチョオチョ」をみんなで踊って
今日の練習は終わった。
このフィリピンの暢気そうなヴォーカルがコミカルな振り付けのダンスを踊ると
自然笑っちゃうのだが、わたしが個人的に笑っちゃったのは、
太腿をリズムに合わせて3回擦る仕草で、何人かの子どもたちは
お腹をさすっていたことだった。

園庭に沿って立てられた園舎の窓ガラスは、すぐに砂埃がついてしまう。
自由遊びから昼食までの小1時間は、窓拭き掃除。
軽く吹いただけで、雑巾は見る間に泥色に染まる。
11時前に乳児室の窓を拭いたら、食事中のみなさんが、
もぐもぐの口を止めて、わたしをじっと見ていた。
普通に掃除したのでは面白くないから、下から上半分のガラスから
顔を出すときには「バア~」なんてサービスしちゃうと、
素直に愛らしく笑ってくれるから、こっちも単純な拭き掃除が
楽しくなってくる。
掃除が一通り終わる頃には、賑やかな園庭には、誰もいなくなった。

午後1時、いつものように今日も幼児クラスの午睡の支援に加わった。
先日まで専属だったR君のトントンを離れて、3歳児クラスの
子どもたちを順にトントンしていくと、30分で10人くらいの
子どもたちが寝入っていった。
そうしている間もRくんはなかなか眠れず、加配のT先生と
悪戦苦闘していた。
「もう、ちゃんとお布団の上にいなかったら、きてくれないよ!」
40分経過して、休憩を取っていないT先生を気遣って
担任のY先生が、わたしに耳打ちした。
「もう少しして眠らないようなら代わってあげて。」

更に5分経ってもRくんの抵抗は続いていたので、
わたしはそろりと二人に近づき、囁いた。
「ねえ、T先生かわいそうよ。Rくんが眠れないと
ずっとお休みしていないんだって。どうする?
お休みしてもらおうか?」
「うん。」
「だめ!Rくんちゃんとわたしと寝なくちゃ、ゆきんこ先生に
とんとんしてもらえないからね!」
譲歩しないT先生に、とうとうRくんは降伏して大人しくなった。
Rくんはすっかり疲労していた。
「Rくん、これで先生と代われるんだね。じゃあ、先生が100トントンしたら、もう眠ってるかな。
1・2・3・・・」
Rくんは、T先生が離れてわたしがトントンし始めて、
30も数えないうちに眠ってしまった。

あとでT先生に話すと
「もう眠りかけてるのに、無理に目を覚ましてトントンして
もらえるまで粘ってるんですよ、Rくん。」
「わたしのお面でも被ってたらどうかな?」

2時半から5時15分までは、久しぶりに乳児室での保育を許可された。
職員室で所長に釘をさされた。
「充分に気をつけてくださいね。声の掛け合いを忘れずに。」
「はい。なるべく雑用にまわる様にします。」と一礼した。

約2週間ぶりの乳児室に入ると、泣く子はいなかった。
わたしの顔をじ~っと見て、数秒してからにこっと
笑ったのは、生後8ヶ月のリンちゃんだった。
どうやら、わたしは彼の見覚えのある顔だったらしい。
一番小さい6ヶ月のYくんが目覚めると、わたしは
あの事故以来、抱っこさせてもらった。
「あの時は本当にごめんなさい、Yくん。」
トッターに座らせてベルトを締めるとわたしはお辞儀をした。
Yくんはじ~っとわたしを見て、「あんた誰?」という真顔。
目の前を横切る担任のI先生を目で追いながら、目と目が合うと
Yくんは、にこっと笑った。
「I先生に笑ったよ。」
「エヘへ、担任の特権かな。」
「もちろん。」

主任のY先生も加わって、わたしの監視も兼ねているから
保育は慎重にも慎重にならざるをえない。
それを気にしながらも、数日ぶりの乳児室のみんなの
発達の変化がわたしを嬉々とさせた。
「わあ、Yちゃん歩くのが早くなった!」
運動会の練習で賑やかになった外の世界や、乳児室以外の
他の部屋で人々がしている雑事にも興味津々の1歳を1ヶ月を過ぎた
Yちゃんは、「お外へ行こうか?」の声かけに
窓ぎわでスタンバイしていたが、
「やっぱり、Tくんが食べ終わってからね。もうちょっと待って。」
と担任が待ったをかけると、怒って泣いた。

また、夕方に部屋に連れ戻されると、指吸いしながらまた泣いた。
「Yちゃん、もっとお外で遊びたかった。前はそんな顔しなかったのに。気持ちがいっぱい出てきたね。」
わたしのコメントに主任はハッとした表情だった。

14ヶ月のSくんは、わたしに「ぽーん」と言い、ボールを投げつけた。
わたしが受け取り、「いっせいのーで、ぽーん」と放り投げ、
ボールを「まてまて~!」と小走りに追いかけると、
SくんのあとからYちゃんもボールをキャッキャと追いかけて
しばらく盛り上がった。
涎が出るほど面白く、そのはしゃぎ様に、他の保育士たちはやや呆然と
見ていた。

5時ごろに相次いで、お父さんお母さんのお迎えが来ると、
ハイハイで近寄るりんちゃん、ひときわ笑顔のYくん、
エ~ン!と泣いて両手を挙げて抱っこをせがむKくん。
みんな親子の絆がちゃんとあって、他人の保育士にも
自分を安心して預けてくれる。

やっぱり、わたしは赤ちゃんが大好きで、
今度もどこかで待ってるかわいい子に会いに行きたいと思う。
そして、どの子も親に愛され、慈しまれて育って欲しいと願っている。
「○○ちゃん、大好きだよ!」
そういうだけで、どの子も素直でいい子に育つ。






















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