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福祉の仕事は甘くない?

本日で、ワーク☆に就職して、9日目。
昨日は、運転手のAさんを待つ交差点で真新しい白いスニーカーを履いた学生服の中学生の姿を見かけた。

どうやらピカピカの新中学1年生らしく、袖丈が長い。

クリーニングの流れ作業も1週間でなんとなく掴めてきたが、ゆきんこの担当は、もっともっと重度重複障害の方々なので、来週からお迎えする皆さんに楽しんでいただくためのプログラムも独自にかんがえなくてはならない。

それに先立って、特に要注意と思しき3名の方々の家庭訪問と、姉妹施設として平成16年にオープンしたワークKにて今日、明日の2日間研修させていただくことになった。

ワーク☆への通勤に1時間30分を要しているが、研修先のワークKは、ゆきんこの故郷にある。
しかも、現在の住所に転居する16年前に居住していたお馴染みの場所だから、因果なものだ。
もしも、ここが新しい職場なら自転車で25分で通勤できたのに・・・・
田んぼのど真ん中にあるロケーションよろしくないワーク☆と比べても、ワークKの付近には、
JRの駅あり、バス停あり、コンビニあり、その他の福祉施設も充実していながら、自然もあるという
羨まし立地条件だ。

同じ生活支援員として採用されたTさんと、施設の付近で出会った。
「おはようございます。」
「もう、遠すぎるわ・・・今朝は寝不足や。」

F駅から徒歩5分でワークKに到着し、早速、施設長I氏の説明を受けた。
I氏は、誰にでも気さくで包容力たっぷり。そして風貌はいかにも福祉の人そのものだった。
次いで、施設の室内を案内してもらった。
ワークKも設立4年目で、スタッフもめちゃくちゃベテラン揃いって訳じゃないけど、
9時を廻った頃に、巡回送迎バスで次々と利用者の皆さん方がやってきて、一人一人が、
ありのままを尊重され、穏やかに、且つ仕事を楽しんで取り組む姿が一目瞭然だった。

「おはよう。」
「おはよう。」
「名前なに?」
「ゆきんこです。よろしく。」
今時の健常と言われる大人よりも、もしかすると、礼儀正しいかもしれない。
いや、誰もがニコニコと挨拶し、握手やスキンシップを求めてきた。
それでいて、3年前には同じ地域の保育所で子どもたちとかかわってきた殺伐とした日々とは
明らかに違う雰囲気を醸しだしていた。

年齢も、障害種別も、その程度もさまざまだから、当然、支援の方法もさまざま。
にもかかわらず、整然とした落ち着きのある軽作業のグループで修行は始まった。

更衣後、まずは戸外でラジオ体操
「ゆきんこさん、Hさんについてください。」
今時流行のパンツがズレているのもお構いなしに、ハンケツのHさんの分厚い手を握った。
「ゆきんこさん、Hさんに『げんこつやまのたぬきさん』やって。」
防護ヘルメット姿のMさんとペアでワンクール
すると、ごま塩頭のHさんは「だっこして・・・おんぶして・・・」
と私の手をプロンプトした。

しかし、自分でできることは潜在的にはたくさんありそうなのに、
じ~~~~っと周りを見ていると動かなくなってしまうHさん。
「支援者は、イライラしないで待ってあげる。我慢です。」
とスタッフからアドバイスを受けた。

再び、軽作業室に戻り、Hさんはホワイトボートの自分の写真カードを取って席に着いた。
日直のメンバーが前に出て、今日の日付と天気、出欠を取った。
次にエキストラ飛び入りスタッフゆきんこの自己紹介。

それからの主担任らしき男性スタッフのプレゼンテーションの長かったこと。
なんと小1時間も、じっと話を聞いていなければならないのだ。
しかし、皆さん方は相当鍛錬されてきたのだろう。
Yさんがしばしば機嫌を損ねて側頭を叩いて自傷したり、
Hさんはぐーすか居眠りしたりするものの、多少のコミュニケーション障碍も当然お持ちの面々は、
静かに傾聴なさっていた。

今日はカレンダーでGWの祝日は何の日?というテーマでお話が終わって、先程の写真カードをホワイトボードに貼って、作業のグループ分け。
「ゆきんこさんは、女性のグループに入ってください。」

というわけで、シールはがし作業に加わった。
粘着力のあるシールはがしって、結構指先の巧緻性を要するものだ。
それでも、メンバーは根気良く50分ほどのワークをこなしていた。

「ゆきんこさんは、どんな方々の支援をするのですか?」
「身辺自立からの生活支援です。」
「では、昼食はTさんの食事につきそってください。」

真っ先に、昼食時間を取らせていただき、その後、Tさんの食事をお手伝いした。
4年前まで全面介助だったTさんは、スタッフがオリジナルで作った食事台や食器を使って最近、スプーンを自分で口元に運べるようになったそうだ。
いつもは、あまり好きでない味噌汁やお茶も、ゆきんこの上手くないスプーン運びをいやがらず、唇を動かして飲んでくれた。

なるほど~~。
ABA(応用行動分析学)を特別知らない業界違いのスタッフでもシステムに包容力と正しい支援策があれば、どんなに重度でも、どんなに加齢しても、その効果が随所に見て取れた。

Tさんの歯磨きをしたら、歯茎から血が出たが、ここは虫歯だらけのTさんにはがまんして頂くところ。
しかし、歯磨き後、気のいいTさんは私の手をとって、部屋を出て、どこかへ誘おうとした。
「先生、Tさんがお部屋に戻ってくれません。」
「ああ、午後からいつもはボランティアさんと散歩に行ってますからね。」

午後のワークが再開されると、Tさんと弟のYさんは抜け出して、戸外へお散歩にでかけた。
背丈も高く、髭も生えている兄弟だけど、背の低い支援者の手引きで彼らのペースでゆっくりゆっくりと歩いていった。
雨上がりの桜が半分散りかけた時節になんだか風流だ。
ワークKは、有名な公園の周辺に老人施設に他のホースセラピーをしている障害者施設も隣接している。
なるほどノーマライゼーションの理念を掲げた30年以上の福祉を先駆してきた歴史も感じ取れるエリアだ。

地元に居住しているスタッフともローカル話にも花が咲いた。
30分かけての散歩コースから戻ると今度は、2時30分から清掃と帰宅の準備。
今日は食堂の椅子を机に上げて、床を箒・掃除機・モップかけ
じっと立ち竦む人・ことばかけで楽しく業務を行う人。

最後に保護者向けの個人ノートに記録して、利用者の皆さんを玄関まで送り出し、送迎車の内外で互いに手を振った。

今日は、何だか健常の人々よりも多く障碍のある方々と朗らかで、ジョークたっぷりの1日を過ごせたかもしれない。
障碍があっても、ひとつひとつの所作に思いを込めてひたむきに施設で過ごす方々に、無垢で純朴であること大切さを学ばせていただいた。

施設長のI氏から最後にコメントをいただいた。
「決められた仕事が遂行できても、生活の自立支援をすることが今後の課題です。
保護者主体でNPOを立ち上げ、親亡き後のグループホームの新設を企画検討していきます。」
同寮のTさんとI氏に一礼して、施設を後にした。




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