日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。
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子どもの虐待のために医療は何ができるか?その2
2008年09月23日 (火) | 編集 |
九州で起こった男児殺害の犯人が母親であったことは、発達障害関連の関係者に大きな衝撃をもたらしたことだろう。
ネットの内外のさまざまな現場で騒然としているかも

「母は死ぬまで辞められない」という15年前の台詞が蘇る。
子育ては社会全体の義務という通説も念仏のようにふりかかる。
私は特別、自身の子育てから免れてきたとは思わない。
寧ろ、自分の私的な結婚や子育ては後回しにして、保育士・支援員として従事してきたつもりだ。
はっきり言って保育業界というのは、男子禁制の砦みたいなところでクタクタになっている伝書鳩生活
だから縁という縁などなかった。
それにしても、それが続かない・・・

ブラウン管を通して殺害された男児の顔写真を見て、「ああ、この子はもしかして・・・」という予感は的中した。
男児は特別支援学級に在籍していたと報じられた。
だからこそ、プロ中のプロの支援が喫緊の急務となっているが、私の地元でもいつ起こるのかわからない他人事ではない事件だ。

殺害されてしまった男児のように、多くの困った君たちが増えているなか、その環境要因として子育て機能を十分果たしきれない親が「しつけ」という名目の虐待をしてしまうリスクは否めない。
私も父も先祖代々の虐待家族だからだ。

21日に聴講した記念講演
「子ども虐待のために医療は何ができるか」
あいち小児保健医療総合センター
杉山登志郎 先生

杉山先生をいつから知っていたか?
12年前に梅田の旭屋書店でマインド・サイエンスの総合誌を購入した。
imago[イマーゴ]1996年10月号
特集「自閉症」徹底討論 片倉信夫+杉山登志郎
自閉症者を支えるために-共感への新たなアプローチとある。

他には、D.ウィリアムズ F.タスティン バロン・コーエン
引きこもりの研究者 斉藤 環 などなど
今に受け継がれている著名人たちがズラリ。

ドナ・ウィリアムズさんといえば、今や世界的なカリスマアイドル自閉症当事者であり、ちょうど1年前に神戸の国際会議場で記念講演を行なった。
自閉症のマイブームは去っても、講演会場はものすごい関係者でごった返していた。
私はその賑わいをスルーして別の企画シンポジウムの会場へと移動したのだ。

遡ること1996年当時、今ほど社会に「自閉症」ということばが流布していなかったが、
既に心理学や精神医学界では脚光を浴びたトレンドな研究領域だった模様。
杉山先生は討論のなかで「100例以上知らない人には自閉症を語って欲しくない。」と述べている。
因みに、私も当時は療育施設で180人くらいはかかわらせていただいていました。
今ではダウン症を凌いで自閉症は凡人でもよくお目にかかるようになるほどに発症率も増えた気がしますが、なぜなんでしょうね?

当時、対談者の片倉信夫先生に年3回の指南を受けて「まぐろ」というリラクセーションを実施していた
ことも思い出しました!

そういうわけで、自閉症といえば第1人者の杉山先生。
現在の勤務拠点であるあいち小児センターは、
2001年11月に開設した子ども病院で、子ども保健センターを有している。
心療科が主軸で、臨床心理チームが独立セッションとなっている。
閉鎖ユニットをもつ心療小児科病棟がある。

ということは、これに倣って松心園もリニューアルしていくのか・・・
確かに、ご近所だからお化けが出そうな建物で、鉄格子も覘いているのです。

被虐児の扱われ方はやはり健全でない。
親に夜の盛り場を連れまわされている。
異性との関係にも問題が山積していて、フラッシュバックも頻出する。
育ちなおしに手間隙がかかる。

NHKが取り上げ30分~40分くらい放映されたあいち小児センターの虐待対応システムとは、
医師・虐待対応心理士・保健師・SW(ソーシャルワーカー)・看護師・保育士・PT・OTの虐待対応チームから成る。
トラウマ処理の経験豊富な虐待対応心理士と、恰幅のよいタフさを備えていないと虐待で生き残れない。

あいち小児センターの子ども虐待の症例(2001年11月~2008年3月)は、
最も多いのが身体的虐待で45.1%
現在の日本の様相は1980年代後半のアメリカによく似ている。

被虐児に認められる併存症の53.3%が(いわゆる軽度)発達障害である。
2大後遺症には、反応性愛着障害が47.3% 解離性障害(多重人格)が54.7%と
「好き好んで付き合いたい人じゃない」などと壇上で仰っていいのですか、先生?
しかし、愛知よりも大阪府は子ども虐待の先進地域で、6~7万件だから恐ろしい。

ADHDと虐待系の多動(反応性愛着障害脱抑制型:ベタベタタイプ)との鑑別は困難で、
解離があるかどうか、意識が朦朧とするか・他者への関心の度合いなどが鑑別点となる。

悲哀反応とは、分離不安や愛着形成の際、子どもが保護者によしよしと宥めてもらうことであるが、
被虐児の場合、数年経っても克服できない。

反応性愛着障害とは、
親やその代理となる人と愛着関係の未形成→適切な人間関係を作る能力や自制能力の欠如
激怒反応(恐怖と不安が根底にある)
自制が利かず反抗的・反社会的
共感・同情心の欠如・友人ができない
逆説的愛着(見ず知らずの人にベタベタする)

解離性障害とは、
強い心的外傷に晒されたとき、身体と意識の統一性が崩れる現象
記憶の断裂・変容(スイッチング)
人格の分裂・多重人格
解離性幻覚

子ども虐待とPDDの海外研究では、ルーマニア養子研究(Rutter,1998~2007)がある。
チャウシェスク政権下で多量のストリートチルドレンが発生した。
そのうち、自閉症を呈する児童が多数いたが、数年後には劇的に改善した。
しかし、追跡研究(Rutter,2007)では、改善例の多くに何らかのPDD症状が残存した。
戦争や惨酷な極限状態などの環境因によってPDDが生じる と示唆された。

次に杉山先生の愛知県のある女児の症例
母親は姉(7歳)に虐待し、妹は溺愛した。
母親に愛着がないので、姉はドライ。
姉は幽体離脱状態で、母の幽体とバトルした。

加害する親もまたPDDであることが多い。
被虐児の臨床像の推移(発達性トラウマ症候群 van der Kolk)は、
幼児期:反応性愛着障害→学童期前後:多動性行動障害→PTSDの症状の出現と解離症状の明確化→青年期:解離性障害と非行へと展開→成人期:最終的には複雑性PTSDの臨床像へ

PTSDの心理治療アプローチとして今、最も期待され、実用されているのは、
あの、EMDRだ!!
そこで、ありとあらゆる技法を用いてI先生も大奮闘ってわけですね。
私も一度やってもらいたいけど、高いんだろうな。
というよりも、私の場合、不要なのですが、やはり重度のトラウマ解消にどれだけ有効なのかに
関心が高いです。

発達障害児が幼児期にスパルタチックな療育を処されて成果があがったかにみえても、思春期を過ぎて生じる強引な療育の副作用もある。最近しみじみ感じることです。
とりわけ、児童精神医学領域における問題としてDSMでは判断できない診断学の限界がある。

発達精神病理学から見た虐待は、
・愛着障害と慢性のトラウマ
・自己の核となるものの不安定さ、および自律的コントロールの脆弱さ(Resilience機能の不全)
 →容易に解離反応が生じ、衝動性へ展開 →解離性症候群 →自我の分裂
・トラウマ→記憶の断裂→実行機能障害(その場反応)→フラッシュバック→体験の分裂

実に、被虐児の親の4割が極めて激しい虐待か、性的虐待、その両方の未治療の被虐待経験者である。しかし、虐待環境からの保護と愛着を形成できる愛着対象者の提供の社会的インフラ(例えば、里親・乳児院・情緒障害児施設等)が圧倒的に不足しており、このレベルでわが国は既に失格!!
我々の不幸は子どもを支える文化が壊れている。

ある児童養護施設では、6畳間に11人収容。
深夜勤は、夜泣き、あやし、おもらしで忙殺され、荒れている。
今や第4の発達障害はこのように表現される。
「よい子の僕がいつも虐められ、悪い子の僕しかいない。」

最後に杉山先生は、子ども好きの学校関係者がリタイアしたら里親になってもらいたいと懇願していた。

母が帰宅し、母親がわが子を手に掛けた計画犯について話してみた。
すると母は、
「わからなくもないわ。私も同じことをよく考えたものね。」
「思春期の父を里子にしたいと思う?」
「・・・・」
「私なんて一体、何回バーンアウトしてると思う?」
「それにしても、平和ボケしてるからDVって増えているのかしら?」
「つまり、対外的に戦争しなくなったら、闘争本能が家庭内で戦争を起こすってこと?」

なかなか心身ともに恰幅のよい人格が形成されにくいわが国のようです。
私の場合、いろんなPDDのお子さんたちが走馬灯のように脳裏に流れ、逃走本能が余計にそそられてしまう怪談のような講演会でした。
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2008/09/23 18:41 | 講演会 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
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