ゆきんこの引き出し

日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。

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昨日は、Fゼミに出かけると前置きしていたせいか、午後から身支度をしている最中にPさんから4回も電話があった。

3時30分には自宅を出て3年間通学した交通機関を経てJR神戸駅に降り立った。
5年くらい愛用してきたのびのびのバックパックには、チャンスがあればお見せしたい資料や書籍を詰め込んだ。
4時台の電車はまだ空席があるので、席に着いて
B.F.スキナー博士の小説『ウォールデンツー 森の生活 心理学的ユートピア』(1969誠信書房)の「12.保育室で(P97~)」から読み始めた。
電車に揺られていると、在学中の通学の電車のなかで色んな院生さんたちと親しくさせてもらったことを思い出した。

残念だったのは、第1志望の教育臨床心理コースの院生に限って、なかなか打ち解けられず、反対に
疎遠な感じさえしたことだった。
特に「緘黙症」のことを尋ねても芳しい反応は全くみられず、ちっとも親しげな感じを覚えなかった。
だから、他コースの院生たちからすると、教育臨床心理コースの面々だけが「あたしたちはあんたたちと別格なのよ」という妙に浮いた感じの特別な徒党にさえ見えた。

もちろん、私のジェラシーとやっかみが含まれていることは否定しませんが・・・

神戸駅には5時に到着した。
Fゼミの開始時刻は午後7時と連絡を受けていたので、まだまだたっぷりと時間がある。
そこで、地下モール街のデュオ神戸の地方物産展などを物色し、昨年、帰りがけに買い物をしていた
イズミヤハーバーランド店などで、差し入れしようと小1時間ほどショッピングを楽しんだ。

移動する際、お気に入りスポットだったスイーツハーバーの跡地は、子育て支援対策にリニューアルしたらしく、ファミリオという娯楽施設に模様替えされていた。
ありの巣エリアや絵本ライブラリーなど、ハード面では恵まれている環境だが、
だからといって、私個人の子育てのモチベーションがあがるのかといえば、相関しない。

所詮、豪華な施設ができても、自分の懐具合に子育てをする余裕がなければ、出産率が上がるどころか、スレスレの生計そのものが脱パラサイトを阻んでいる。
最近になって少子化大臣が任命されても、この20年対策が後手後手になって山積してきたのだから、やっぱり自治体の税金の使途が有効になっていないとしか思えない。

論文の総仕上げをしなければならなかった昨年の秋は、ストレス発散になぜかしら、買い物と料理・掃除などに走っていた。
それに比べて今年の秋は、、、またもや失業中
その理由は、この数年の酷暑を乗り切れなくなっていることが一番問題だ。

お買い得のクリームパンと紫芋チップスを買って地下から1階のエスカレーターに乗ったとき、
物珍しいコーナーが目に付いた。
「リラックスステーション新規オープン!!無料 トランセイバー健寿の健康回復コーナー」
「リラックス」「無料」という文字に弱いので、スルスルとためしてみることにした。

「あの、無料体験したいのですが。」
「どうぞ!!」
ありふれた椅子の上に腰掛け、フットクッションに足をのせた。
「両手を出してください。」
指示通りにすると、40代後半のセールスマンのS氏は電磁気のような機械を両手の平にあててブルブルと刺激した。

「どれくらい座っているのですか?」
「15分ね。今日、初めて?」
「はい。」
「そりゃ、ラッキーだ。毎日きたらいいよ。」
「遠方からたまたま来たので・・・次の予定は?」
「ん?あそこに受注したお客さんに営業だよ。」
予約客の名札は10名程度。
へ~!この装置のお値段40万円近くするんだよ!!

どうも思わせぶりな営業だな~
「健康1番!お金が2番!」
という売り文句で、並んで座っているお試しの他のお客さんたちにも座るだけで自然電位が全身を包み込んでさまざまの効果をもたらすことを宣伝した。

「それじゃ、このへんで。後で水を飲んでおいてくださいね。」
「ありがとうございました。」
15分経過したところで、トランセイバーの空席が埋まり、再び磁気解除のブルブル刺激を受けて、退散することとした。
身体が弱ってきたシニア世代や脳卒中などの中途障害者の心を揺さぶる商品だな。
ダメージを受けた人々の心身を癒す方法は千差万別あるけれど・・・

日没が迫り来る午後6時
いよいよ横断歩道を渡って大学院のフロントガラスを押し開けた。
「こんばんは。修了生のゆきんこです。今日はゼミにおじゃましにきました。」
「あら、どこのゼミ?」
「あ、N先生、在学中はお世話になりました。」
「まだ、(夏季)休暇中だからゼミをしている先生は少ないわよ。」
「いえ、院生さんにメールをいただいたので、もうすぐ。」
「ゆきんこさん、どの先生ですか?」
「F先生です。」
「F先生は・・・今日の予約受けていませんが。」
修了後も私の名前を忘れずに呼びかけてくれた事務担当のM嬢が便宜を払ってくれた。
「いつもは、7時頃小講義室でなさっているようです。」
「ありがとうございます。では、図書室で待機させていただきます。」

図書室に入室すると、殆ど違和感なく在学生の教職員たちが黙々とPCのキーを叩く音が響いてきた。
一度、部外者になると、PCのパスワードがないので利用できないし、コピーも専用カードを購入しないと利用できない。今度いつ再訪できるかわからないので書籍も借り出せないので、唯一、その場で閲覧するだけだ。

それでも、最新号の「行動療法研究」を閲覧して、即座にメモを走らせた。
臨床心理学コースの過去問題集も入手した。

30分経過した頃、昨年しばしば顔を合わせていた院生さんたちが入室してきた。
「あら、あなた?」
「お久しぶりです。在学中はご親切にありがとうございました。修了してちょっと立ち寄りました。」
「論文書き上げられたのね。羨ましい~。もうしんどくなってきちゃって、もう早く終わらせたいわ。」
「でも、終わってしまうと、ああ青春だったなと、ちょっと寂しいですよ。」
「そんなこと言えるなんて余裕あるのね。」
「仕上がった論文を読み返すと指導教官が尽力してくださったことがよくわかります。先生ご自身も
しっかり指導したよと仰ってくださいましたから。独りでは書けなかったと思います。」
「まあ~それも羨ましい!!私たち先生から全然ほったらかしなのよ。焦るわ~!」
「ないものねだりよ・・・」
黙々とキーを叩いていた女性がぼやいて会話に加わった。
「確かに、指導教官しだいで論文の仕上がりは全然違うと思います。でも、ちゃんと見てくださいと懇願したから私も我がままを聞いてもらったんですけどね。
先生によっては反対に敢えてほったらかしにして自分で研鑽するように指導なさらない方針なのかもしれませんし。」
「ないものねだり・・・」

年配の二人の女史が、困窮しながら論文を進める傍ら、行動療法研究を書写しているとFゼミの院生さんが入室してきた。
「I先生、こんばんは。今日は無理に押しかけまして・・・おじゃまさせていただきます。」
気のせいか、苦笑いでなんだかよそよそしいな。ホントにお邪魔ムシ?
やっぱり、院生でもない他コースの私が修了後も出没するのは迷惑なのだろうか?

今、オンエア中のスタジオパークのゲストは、FF(フォルティシモ)で1985年を風靡したハウンドドックの大友康平さん。大友氏は、バンドしながら教員になる道も嘗ては模索したらしい。進路に悩み、生徒と向き合っていく大変さを教育実習で経験し、結局、教員にはならずお笑い芸人になることも試行錯誤したとか。

続いて、入室した女性が接近し、歓喜の声で私の名を呼んだ!
「ゆきんこさん!久しぶり!今日来てたのね!!」
「ああ!S先生!私、夏休みにメールしたんですよ!」
「ごめん、携帯変えたのよ。」
「イソフラボンのめまいに対する効能を知りたくて」
「ああ、もちろん多少効果あるよ。イソフラボンって環境ホルモンだから。」
「イソフラボンは環境ホルモン?」
「うん。それで、仕事どうしてる?」
「それが・・・バーンアウトしました。」
「やっぱり私の予感的中ね。研究(の世界に)戻りなさいよ。」
「そういうS先生は?」
「がんばってるよ。月1回はまだゼミに来てるの。」
「へえ、もう修了してもまだ指導してもらっているのですか?」
「論文提出後も、まだまだ加筆修正があるのよ。講師の仕事も増えたから忙しくなったわ。」
「去年、あれだけしんどいしんどいって言ってましたけど、大丈夫なんですか?」
「うん。ちょっと楽になったよ。ありがとう。それじゃ、ゼミに行ってくるね。またね。」
「行ってらっしゃい。」

時計を見ると6時50分。
私も講義室へ移動してF先生をお待ちすることにした。

定刻を少し廻ってゼミ生のI先生・Y先生の後にF先生がお目見えした。
私は起立してF先生に一礼した。
「先生こんばんは。先日はありがとうございまし。ずっとお礼を申し上げたくて、久しぶりにおじゃましました。おはぎをもってきましたので、どうぞ召し上がってください!」
「ありがとう。どうぞみなさんで食べてください。私はドクターストップで食事制限しているのですよ。」
「ええ!去年までお菓子を持ち寄りしていたのに・・・」
「だから、それがよくなかったんだよね。」
「そうですか・・・」

おはぎだけでなく、クリームパンやコーヒーセットなど甘い持参品はなにひとつ差し出すことができなかった。
ゼミはお菓子を食べにくるところではないけれど、憩いの場所とずっと勘違いしていたのは私かな?
夏休み中、ブランクがあり2名のゼミ生さん方は、いよいよ論文の書き出し作業及びデータ処理の添
削指導を受けることになっていた模様。
特に、小学校のY校長先生はこの夏休みはほとんど返上だったそうだ。
やっぱり、善良なタフマンしかこのコースでは生き残っていけない。
だから、Fゼミの傍聴者を許容されてきた私が一番おいしいところ取りをしているのかもしれなかった。

Fゼミの場合、なんらかの療法や実践を行なう場合、まずベースラインをとる。
事前、最中、事後のデータを採集し、図表にして科学的指標に基づいて実証するのが鉄則である。
それでこそ、「何となく」の主観的経験知を誰もが認める客観的科学的に学術会で公表できるのだ。
これが、THE EVIDENCE BACED CLINICAL PHYCOLOGY というわけだ。

Y先生には
「問題の書き方に論理の飛躍がある。高齢者にはどんな問題があり、解決策にはどんな研究があったか?子どもの育ちにおいても同じで、双方がかかわることにはどんな意義・必要性があるのか流れに沿って説明し、先行研究を例示する。しかし、解明されていない点があり、実際に行なわれていない。」
I先生には
「実験的研究の場合、更に効果を確かめるには、3ヶ月経過、6ヶ月経過後というふうに実施してごらん。維持テストというんだ。やめた後も効果が残っているなら尚、完璧ですね。」

ゼミ生さんの資料に対する添削や指導助言はてきぱきと1時間あまりで終了したので、残り時間で特別なレクチャー&ディスカッションの時間になった。

「最近の親は、子どもをほったらかしにしている。娘が不登校になったと5ヶ月目で母親が相談しに来た。早くSSTやアンガーマネージメントをしないと大変な大人になってしまう。
不登校児が急増して、全国の中学校にあまねく臨床心理士が週1~2回派遣されるようになったが、出現率は減っていない。臨床心理士と教職員との協力・連携がうまくいっていないから、臨床心理士の評価が低い。プライバシーの保護や守秘義務があってセラピストから教員へ情報がもらえない。
海外はその日本の様相を見て、先進諸国のなかで不登校が多いのはおかしいと言っている。
ゆとり教育の弊害で学力テストなどの世界ランキングが下降しはじめて、経済界がクレームをつけた。結局、文科省の財源を割いて臨床心理士の派遣で不登校対策をしたのだけど、失敗したから臨床心理士の社会的地位が危うくなってきた。だから臨床心理士には学校教育界で重要なのだとその存在意義を示して欲しい。ところが、臨床心理士の認定協会は殆どが力動論者(精神分析学派)で占められている。河合隼雄氏が文化庁長官で君臨してくれているうちは見込みがあったが、政権が不安定だと、数年経っても臨床心理士の国家資格制が案件になったまま、流れてしまうだろう。心理療法は何がいいか、行動療法がいいに決まっている。精神分析では発達障害をちゃんとみれないんだ。最近は、PDDのワークショップ研究会を実施する研究者も増えてきた。きょうだいの不登校も増えて、どう引っぱり出すかが重要だ。まず、行事参加。小中高・専門学校と不登校が長引いて人とつきあうスキルが身につくとはとても思えない。20代にさしかかると取り返しのつかない可能性がある。小学生(0.03%)から中学生(2.67%)の不登校が8倍に急増する一因には、中学で給食がなくなることにある。とにかく日本全体がおかしい。ダメな国になった。核家族が崩壊し、金儲けに走った。3C(カー・クーラー・カラーテレビ)から家付き・カー付き・ババ抜きが叫ばれ、いかに生きるべきかを諭さなくなった。」

「先生、先日、杉山先生の講演会に出かけ、悲惨なお話を聞きました。杉山先生は今の日本の様相は20年前のアメリカに似ていると言っていましたが、現在のアメリカはどうなっているのでしょう?」
「アメリカでも麻薬、ドラッグ、高校生の性交などが横行したが、背景にはその国の文化や価値観がある。それにアメリカは法規制が厳格な国だ。」
「自由の反対には責任があると。でも、日本では自由ばかりで無責任になってしまった。」
「アメリカでは義務教育を終えた若者は家を出て自立するというお国柄は変わらない。」
「すると、今の日本が一概にアメリカに似ているとはいえないということですね・・・」

Y先生が話題を切り替えて、午後9時になった。
「それじゃ、今夜はこの辺にしましょう。あ、Pさんに宜しくね。」
へえ、PさんはよほどF先生に覚えがめでたいのだな。ついにファーストネームで呼んでいただくとは。
私なんかよりよっぽど相思相愛って感じ。
100回は面していないけど私などたった一回も名前を呼んでもらったことないのだ。
「先生、せっかく持ってきたので、よかったら持って帰ってください。」
「いえいえ」
お菓子を差し出したけど、2名の先生方もよそよそしく資料を片付けて随時、退室した。

EMビルの入り口でF先生に会釈したI先生が小走りで神戸駅へ向かって駆け抜けていった。
とぼとぼと神戸駅に辿り着き、新快速の空席に座ると、空腹感はすっかり通り越していたが仕方なくおはぎを食べた。

人間は感情の生き物ですから、いくつになってもパンドラの箱がひっくり返ってしまうのです。
もっとイヌを見習わなくちゃな。
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