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2008/09/30 (Tue) ありがとう、さようならワーク☆
午前10時30分、小雨の中をとぼとぼと30分近くかけて歩いて市街地へ向かった。
まず、立ち寄ったのは銀行。本日付で施設に提出する書類に銀行印を押印してもらった。

次にバスに乗って20分。
正午には、丁度1ヶ月前まで降りていた停留所Aで降り立ち、再び徒歩30分。
今後、通勤路として歩かないだろうこの道程は、4月から8月の日々を物思いしながら行くことで雨にもかかわらず、なぜか足取りは軽やかだった。

田んぼの中に黄土色の施設が見え、やっぱり懐かしい気持ちがわいてきた。
一番先に目に入った人の姿は、T班の背高のナイスガイのMさんだった。
「お~い」
私から手を振ると、Mさんもすぐに気づいて私に手を振り返してくれた。
「こんにちは~。」
☆班の面々が支援員のO氏を囲んで玄関に腰掛けていた。
Mさんが近寄ってにこにこの笑顔をたたえた。
「あら~、みんな勢ぞろいでお出迎え?ありがとう。」
「いつもこの時間は戸外でこんな感じだよ。」
「今日は雨だね。もうお昼ご飯食べた?」
Mさんの口の周りはほのかに黄色くなっていた。
「あ~、今日カレーだったんだね。いつもより食べるの早かったんじゃない?」
続いて、Kさんが私に抱きつき、ぐいっと引っ張って隣に座らせた。
「ちょっと、痛い!Aさんだけに会いに来たんじゃないよ!!」
最終日、私が去ることを知ってシレ~っとした無表情だったAさんの反応が気がかりだったが、
相変わらずの人懐っこさで私を歓迎してくれたようだ。
「今日は朝からゆきんこさんが来るぞとみんなに伝えていたんだ。」
「ゆきんこさん来てくれてよかったね。」
「すみません。。。みんな元気そうでよかった。Yさんとも仲良くがんばっているんだね。安心したよ。」
「8月の猛暑でみんな丈夫に鍛えられたんだな。誰も休んでいないし、Kさんも発作はなかったよ。」
「じゃあ、Yさんはまだ1度もKさんの発作を?」
「はい、見ていないんです。」
「Kさん、元気そうでよかったね。♪しあわせなら態度で示そうよ。」
私が1ヶ月前まで殆ど毎日歌っていた歌を歌うと、盲目のKさんは微笑んで両手を握り合わせた。
「Kさん、私の声を覚えてくれていたね。」
「一度覚えたら、しばらく会わなくてもずっと声色を覚えているよ。」

1時で休憩時間が終わり、☆班の作業室に入ると、1ヶ月前と殆ど変わらない雰囲気で利用者さんたちは迎えてくれた。
「あれ、Oさんお腹出てますよ。」
「やっぱり?オレってこの季節太るんだよね。夏は汗もよくあれだけかいたけど、秋になると食欲が旺盛になって3キロも太っちゃった。」
「うん・・・1ヶ月もご無沙汰しているとみんな少しずつ変化しているのがわかりますよ。なんだかあの猛暑を乗り切ってみんな穏やかな表情をしていますね。」
「先週までは畑のさつまいもの収穫で忙しかったけど、今週は雨だしのんびりやってるよ。」
「空き缶踏みの作業も増えて、みんながんばってるんだね。1ヶ月前の猛暑とは大違い!」
6人の利用者さんが代わる代わる新しい支援員のYさんの指示で抵抗なく空き缶潰しに勤しんだ。
私の後任に入ったYさんが明るくてきぱきと利用者さんたちをサポートしてくれ、☆班が恙無く1ヶ月を過ごしたことがうかがえた。
ところが、Aさんときたら水遊びやら隣に私を座らせて気を引こうとたくらんでいた。
「Aさん、ゆきんこが来たら、赤ちゃんになっちゃうならもう帰りますよ。辞めたのは30%くらいはAさんの悪戯なんだからね。ちゃんとお姉さんになってねってお別れするとき言ったでしょ?」
そんなお小言には耳も貸さず、Aさんは自分の肩に私の腕を絡ませて歓喜の声をあげた。

作業意欲につながらず手持ち無沙汰だったり、心身の調子がなかなか整わなかったメンバーだけに、あんなにハラハラドキドキしながらの危険と隣りあわせだった支援が嘘のような1ヶ月が経過したようだ。

ゆきんこが1ヶ月ぶりに来たことで、新人のYさんとベテラン支援員のO氏と6名の利用者さんたちが和やかに午後の作業を終えて、降所時刻の3時はあっという間だった。
毎日勤務している時は、午後の2時間はなかなか経過しなかったというのに・・・
3時以降は、送迎車を待つT君・S君・H君たちが☆班に降りてきてクッション投げに興じた。
「最近、ここで過ごしているんだ。」
「うん。2階は誰もいないし。」
「もうクーラーもつけなくていいしね。みんな仲良しで元気で仕事していてよかった。辞めちゃってごめんね。」
「うん、いいよ。」
廊下ではRさんが恥ずかしそうに私の姿を見ては逃げていた。
「Rさん、遅くなったけど来たよ。お話しようよ!」
Rさんははにかんでしばらく逃げていたが、一緒に絵を描こうと誘うと、また1ヶ月前のように親しく会話した。
「私の夢は画家になること。」
「そうなんだ。ジミー大西って知ってる?」
「うん。でも、好きじゃない。」
「じゃあ、好きな画家はだれ?」
「え~っと漢字の名前難しいの。」
「テレビに出てる人?」
「うん。」
「だれかな?」
「これ、何描いたと思う?」
「イルカ」
「当たり!」

そうこうしていると、午後4時。
最後の送迎車を見届けて施設は鎮まりかえった。
残務の記録・清掃・物品の点検など、私の担当は新人のYさんがてきぱきとこなしていた。
Yさんとゆきんこ
明らかに違うのは若さ。
そしてバイタリティだった。
あの8月猛暑がなくても、私の許容量いっぱいのスレスレの支援は、Yさんには余裕綽々にみえた。

事務のIさんの手引きで退職の事務手続きを済ませると、「ああ、今日付けで本当に終わるのだ。」と
今までの辛苦がふっきれた気がした。
会話を交わさなかったTさんが
「旦那さんと暮らし始めた?」などと聞いてきてくれた。
「いえ、二人ともプー太郎ですよ。」
「どうなってんのよ。あんたたち新婚なのに。旦那に働いてもらえないの?」
「・・・・病気なんです。」
「ええ?」

運転士さんたちが「新しい仕事見つかった?」とか、
「一箇所面接を受けましたが、事務職だったので不採用でした。」
「ワシが連れて帰って雇ってやる。」
「夫に叱られます。」
「履歴書が立派すぎるからじゃないの?」
「立派じゃないですけど、雇いにくいでしょうね。消しゴムで消したほうが就職に有利ならそうした方がいいのかもしれませんね。」
「ゆきんこさん、お話ぶりが面白おかしいから講師がいいんじゃない?」
「肉体労働よりも、首から上の仕事の方が合っているかもしれませんね。でも、就職となると間口は厳しいです。」
「職種は何でもいいなら、キャディなんかどうだい?ゴルフ場を歩き回るけど時給はいいし、きっと福祉の仕事よりも楽にできるよ。」
「そうだ。ゆきんこさんなら、キャディは向いているだろうな。あんた話題が豊富だから。」
「そうですか?」
「もし、行ってみようと思うなら、事前に電話してよ。」
「ありがとうございます。」

「またいつでも会いに来てね。」
「お世話になりました。施設長もどうぞお体に気をつけて。」
とにかく、なんでだかゆきんこが辞めることになって、スタッフはあたたかく行く末を心配してくれていることがわかった。
5ヶ月間、この施設で過ごせたことがきっとみんないい思い出になるだろう。

ありがとう。さようなら。ワーク☆

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プロフィール

ゆきんこ

  • Author:ゆきんこ
  • 2005年8月23日にデビューして、ブログ歴12年目になりました。
    開設当初、障碍児加配保育士を経て、紆余曲折の3年間の夜間大学院の日々を綴ってきました。
    修了後も、失業と再就職を繰り返し、どうにかケセラセラでやってきました。
    出会いと別れの中で次第に専門分野への執着を捨て、遠ざかる日々です。

    独身時代の趣味は、旅行、水彩画、ハイキング、心理学系の読書、リコーダー演奏などでしたが、兼業主婦になってからは家事にまい進、心身とともに衰退しています。
    かなり前に流行った「どうぶつ占い」では「人気者のゾウ」ってことになってます。

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