日常の当たり前の何気ないことの中に 「あっ」というささやかな発見を一緒に 味わってくれませんか? でも、もしかすると、見過ごしている当たり前でない大発見かもしれません。
教育実践学フォーラム
2011年12月04日 (日) | 編集 |
2011年も早師走です。
公私共にいろんなことがあり、取り返しのつかないこともありましたが、概ねは平凡に日々が過ぎ、
掃除して3時にはホットケーキを焼いて食べて、のんびりとした日曜日が暮れていきます。
窓から紅葉に染まる山々を望み、居間には、ポインセチアと小さいクリスマスツリーを飾りました。

昨日は、久しぶりに中之島のお馴染みの場所へ出かけてきました。
午後12時30分にH大学講師のK先生と待ち合わせ、まずはランチをご一緒しました。

なんやかんやとブログに綴ってきたようなことを話していたら、定刻がすぐにやってきてしまいます。
「来年の今頃を考えると、一体どうなっているのかしらね、ホホホ。」
「K先生、その、『ホホホ』でどうにかなりますよ。」
「私には先生って呼ばないでちょうだい。あなたをお友達としてお誘いしたのだから。」
「なんだか恐縮してしまいます。もう私は特別支援のプロの道から逸れてしまったのですから。全ての免許を生かし切れず、葬ってしまいました。でも、世の中は世知辛いですから、こうして生きていることで十分です。」

大学院修了後、同窓だったK先生は長年の特別支援学校教諭から養護教諭を養成する保健学部の大学講師にキャリアアップされ、今や、博士課程で論文を作成中。しかし、日々の講義との両立は厳しく、なかなか進んでいないのだそうだ。

そんなエリート街道のK先生と並ばせていただき、セミナールームへ進んだ。
セミナールームは厳かでひっそりしているのに、大勢の教育関係者で満席だった。
「あら、ご無沙汰しております。」
「思いがけずお会いでき、嬉しいです!」
「こちらは娘です。今年合格しまして、来年から修士課程に入ります。」
「おめでとうございます。在学中はお母様に大変お世話になりました。どうぞ充実した学生生活をお過ごしください。」

毎年3回教育実践学フォーラムが主催され、今回で8年目、第24回目を迎えたとのこと。
ゲストスピーカーは、京都大学こころの未来研究センター教授 船橋新太郎先生。
船橋先生の輝かしい履歴は、省略させていただき、大まかに言ってしまうと、霊長類研究と、認知神経科学の世界的第一人者と称される理学博士でいらっしゃる。

テーマは「ワーキングメモリと前頭葉」

心理学における記憶の種類には、大きく「短期記憶」と「長期記憶」があるが、
ワーキングメモリとは、短期記憶のグループに属する。

短期記憶には、次のような特徴があるとされる。
1.貯蔵できる情報の容量に厳しい制限がある。
2.情報を貯蔵できる時間は数分程度。
3.貯蔵している情報を意識することができる。

さらに、短期記憶だけでは説明できない従来の認知機能としての記憶のメカニズムを「ワーキングメモリ」の概念として提案したBaddeleyは、いくつかのモデルを示した。

そして、心理学事典の説明では「ワーキングメモリ」とは、
環境から新たに入力される情報だけでなく、長期記憶から取り出された情報も含み、それらが併せられて状況の理解や作業遂行に必要な前提となる記憶が能動的に遂行される。したがって、変化や作業の進行に伴って変化していくものである。
「情報の一時保持機構と、情報の処理機構を併せ持つシステム」と考えることができる。

脳の作業台のような役割をする「ワーキングメモリ」は、日常生活で考えるとき、暗算をしているとき、相手の話を理解するとき、判断や意思決定するときなどに必要とされる。
例えば、目的地へ向かうため、同乗者と雑多な都市内を運転中の人が、同時進行で
会話したり、交通ルールを判別して事故を起こさないよう安全運転したり、ということができるのは、
脳の中でどんな神経回路が働いてできるのか?

しかし、嘗ての心理学者は、脳のどこの部位でそれが行われているのか究明してこなかった。

現在では、ワーキングメモリの役割は前頭連合野が相当すると考えられ、ヒトの脳で最も重要な部位とされている。
異種動物で前頭連合野の大きさを比較すると、ネコ3%、イヌ7%、マカクザル11% チンバンジー17%、ヒト29%で、ヒトを人たらしめている部位といえる。
また、ヒトの大脳皮質の成熟と発達は、前頭連合野の成熟が最も遅く、発達の影響を大きく受ける。
脳外科医にしてみれば、刺激しても誘発電位の起こらない「沈黙の脳」とも称されてきたが、実は最も重要な高次領域として知・情・意を司る部位とされる。

前頭連合野の損傷によって、
・問題解決能力・応用力の低下
・不要な刺激に対する反応抑制ができない
・感情表出や理解の困難
・倫理観・道徳観・責任感の欠如
など、いわゆる実行機能の障害として理解される。

さてそこで、
ワーキングメモリにかかわる神経メカニズムを探る。
・どのように調べるか?
・どのように情報を一時的に保持するか?
・どのような情報が保持されているか?
・どのようにして情報を処理するか?

マカカ属のサルを使った実験で、サルは(指さしをしないので)どこを見ているか(視覚情報)を脳波電位の変化を「再現法」の眼球運動で調べる。
見続ける訓練を続け、場所(位置情報)を覚えさせる。
覚えているときに、脳内でどんなことが起こっているのかを検証する。

実験の結果、サルが記憶しようとしているとき、前頭連合野の左右の両側にニューロン活動が活発に発火していると考えられる脳波の電位変化がみられた。
また、このとき、サルの眼球運動も活発になっていたことから、記憶と眼球運動にはかかわりがあるかもしれない?と考えられる。

しかし、どうやって記憶を保持しているのか?という疑問はまだ解明されていない。ということでした。


残り15分会場からの質疑応答は、
Q「思い出そうとするとき、上目使いになることがありますが、それと脳波との関連はありますか?」
A「巷ではそんなこと言ってるようですが、わかりません」


こんな立派な世界に名立たる博学の先生でも、わからないことがあるんだ!
謎は宇宙のごとく深まるばかりです。


私がどうしてもできなかった珍問は、
「生まれたての赤ちゃんは無理ですが、1歳ぐらいの赤ちゃんは指さしをする。でも、サルや自閉症の子どもはしない。この違いはどういうこと?つまり、前頭連合野の機能と何か関係ありますか?一体、いつから人類は指さしをし始めたの!?」
史上初の指さしはいつ、どこでどうやって生まれたのか!?
謎です!!

知りたいなら「心の未来研究センター」へ行かなくちゃなりませんかね。
いやいや研究ていうのは、誰も教えてくれない、だから自分で究めなくちゃならない。
地味で過酷なお仕事ですよね。

見るからに温厚でサンタクロース姿が似合いそうな船橋先生に感謝感激しました!
そして、何だかブログを綴り始めた頃の乳児室を懐かしく感じました。
どの赤ちゃんたちも、私にとっては大切な「先生」でした。
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2011/12/04 17:32 | 講演会 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
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